スマイル2020歳までの予防歯科に参加しませんか
「生涯自分の歯で健康にすごしたい」、この願いを実現するための予防プログラムが「スマイル20」です。
二十数年前、多くの保護者の方からこのように頼まれました。 「私は歯で苦労しています。先生、どうか子どもには、同じ苦労をしないようにしてください」
この保護者の願いをかなえるために、医院の診療システムを予防的な考えに基づいた治療システムに方針転換して、その改善に努めてきました。2015年の国際学会の発表で、世界的にトップクラスの成果を出していることを確認できたので、「スマイル20」と命名して、さらに多くの方にこの予防プログラムに参加していただけるようにしました。
つめ物の数が多いほどその後の治療回数は増える
成人期の歯科治療は、多くが以前に治療したところの再治療です。
2013年に、杉山歯科に通院中の方を調べたところ、30歳からの約10年間の治療回数は、20歳代でつめ物の数が0-5のグループは、11以上のグループに比べて、半分以下で、しかも、比較的簡単な治療が多いという結果でした。(1)
つまり、20歳までにつめものの数が少なければ、その後治療で苦労する事も減らせます。
(1) S. Sugiyama, Relationship Between DMFT in Young Adults at Initial Visit and Frequency of Invasive Treatments in the Following 10 Years, Caries Res 2014;48:384–450
つめ物の数とその後10年間の治療回数の関係
スマイル20その成果は?
予防プログラムで大事なことは、実際に成果があがっているかどうかを検証することです。杉山歯科では、1999年からコンピュータを利用したデータベースに来院者のデータを入力して、様々な解析をして、治療の向上に役立てています。
6歳から20歳までの予防プログラムを解析したところ、次の3つがあきらかになりました。
- 6歳から20歳まで、毎年1回以上予防プログラムに参加した人では、
- 56%は、つめ物が「ゼロ」でした
- 平均のつめ物数は「1.9本」でした
- 6歳から20歳までに、1年以上の中断があった人では、平均のつめ物数が「3.3本」でした。
- 6歳から20歳までの予防プログラムの回数が、1-12回と少なかった人では、平均のつめ物数が「4.9本」でした。
つまり、永久歯が萌出する時期(6歳頃)から、なるべく途絶えることなく、20歳まで予防プログラムに参加すると、つめ物が少なくなり、「ゼロ」になる可能性も高くなることがわかり、杉山歯科の予防プログラムが効果的だったことを検証できました。
6歳から20歳までの予防プログラムの成果を2015年に国際学会で発表しました
6歳から20歳までの継続的な予防プログラムの成果を2015年にベルギーで開かれた学会で発表し、世界のトップレベルの成果であることを確認することができました。
S. Sugiyama, Caries Management of 6- to 20-Year-Olds; Report from a Japanese Private General Practitioner, Caries Res 2015;49:297–369
スマイル20プログラムの内容
- お口の中をきれいにして、詳細に診査します
初期のむし歯は、歯の表面にあるプラークに覆われていることが多いので、歯ブラシや専用の器具で歯面をきれいにして、むし歯の診査をします。診査結果はICDASという国際的な診査方法で記録されます。ICDASは、穴があく前のむし歯の記録を重視しているため、削らないむし歯治療(重症化予防処置)が行えます。
1) 治療前の状態
2) プラークを取り除くと初期むし歯が見えてきます - レントゲンで見えないところの診査をします
- むし歯のリスク(なりやすさ)を調べます
問診によってむし歯のリスクを調べます。場合によっては唾液の検査も行います。
- 削るむし歯かどうかの判断は慎重に行います
「黒いところ = むし歯」ではありません。このように10年間変化しないこともよくありますので、必ず以前の記録と比較して、進行している場合に削る治療を決定します。
学校歯科健診では、このような黒い部分をむし歯として指摘されることは、よくあります。杉山歯科では、以前の写真と比較して、進行していないかどうかの診断を行います。黒い所を削ってしまうと、20歳には、つめ物がとても多くなり、成人期に苦労することになります。
- 本人と保護者へ説明します
患者さんと医院で情報を共有することは、とても重要です。杉山歯科では、1回の治療時間を40分から60分かけて、説明にも十分時間をとっています。また、お口の写真や検査結果は、健康ノートに印刷してお渡ししていますので、あとから確認することもできます。
- 歯科衛生士が予防処置を行います
- 次回の予防治療時期を決めます
治療時期は、おおむね下記のようにしていますが、学校の行事なども考慮して決めています。
- とてもリスク高い方
- 毎月(3-6ヶ月間、その後は高リスクへ移行)
- リスクが高い方
- 3-4ヶ月
- リスクが中等度の方
- 4-6ヶ月
- リスクが低い方
- 6-12ヶ月
レントゲン検査は、1年に1回を基本としています。通常は、奥歯を2枚、必要に応じて前歯も検査します。お口の写真検査は、1年に1回撮影します。
患者さんの状況に応じた必要な予防処置を歯科衛生士が行います。
2016年4月からは、フッ化物塗布も保険適応になりましたので、初期むし歯に対する重症化予防治療は、保険で治療ができます。